琵琶湖で鮎漁にチャレンジされている若手漁師の中村清作さん

「チャレンジする高島人」シリーズ4番バッターは、「琵琶湖で鮎漁にチャレンジ」されている若手漁師の中村清作さんです。


NakamuraFune.jpgQ)こんにちは。 中村さん、漁師歴は何年ですか?

中村さん)8年半です。その前に2年ほどサラリーマンをしていましたし、子どももいますので、そんなに若くはないです (笑

Q)琵琶湖で漁が行われていることをご存じない方もおられると思うので、簡単に説明していただけますか?

MrNakamuraFace2.jpg中村さん)日本では琵琶湖の漁業は特殊だと言われています。それは、海に比べれば小さすぎるし、内水面に比べると大きすぎる。でも、日本の沿岸漁業を集大成した地域とも言われています。そして今、琵琶湖では約千人ぐらいの漁師仲間がいますが、農業と兼業されている方が多いようです。私んとこは父と母と私の三人でやっていますが、専業です。

中村さん)魚法は「沖すくい」や、私がやっている「小糸(網)漁」とか、琵琶湖特有の「魞(えり)」や「追いさで漁」とか。琵琶湖に流れ込む安曇川や知内川などでは「カットリ梁(やな)漁」も行われています。

Q)小糸漁というのは、網で魚を捕る漁法ですね。

中村さん)そうです。私は冬から夏にかけて鮎を追いかけています。実は、琵琶湖の鮎漁は11月20日に解禁されて、翌年の8月20日までです。その後は、特定外来生物に指定されているブラックバスを駆除のために追いかけています。

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Q)琵琶湖のブラックバスやブルーギルで琵琶湖の固有種が大きなダメージを受けていると聞いていますが。

中村さん)琵琶湖の漁獲高が大きく減少したというデータをご覧になった方もいると思いますが、大きく落ち込んだのは実は貝、つまりシジミが獲れなくなったことが大きいのです。魚の住む環境も大きく変化しましたが、でも魚に関しては年間2千トンぐらいの水揚げがあって、意外と安定しています。もっとも、年によっては厳しいこともありますけど。

Q)小糸(網)漁について、もう少し聞かせて下さい。

中村さん)鮎漁の場合、冬場からサクラの頃までは午前3時頃に網を入れます。そして6時頃に網を上げるわけです。冬の間に獲れる鮎は「氷魚(ひうお)」と言って小さくて透き通っています。これを釜揚げにするというのが滋賀県の食べ方ですね。それから、春になってくると「若鮎」になって、これは佃煮に加工されます。

YoruRyo.jpg中村さん)5月頃になると深夜に網を入れます。そして夏場になってくると、鮎は大きくなって「小鮎(こあゆ)」、そして「中鮎」になります。でも、鮎は琵琶湖にいる間は体長が12cmぐらいの「中鮎」までしか大きくなりません。

Q)県外の人達は鮎は川にいて、もっと大きいと思っていますね。

中村さん)琵琶湖から川へ遡上していくと大きく育つんですが、餌の関係で琵琶湖の鮎は大きくなれないんです。実は、今でも琵琶湖の小鮎は生きたままで全国の河川に出荷されていて、そこでは大きく育ちます。確か、年間20トンほどが県外の河川に放流用として出荷されていたと思います。

KoAyu.jpg中村さん)それから、鮎は育つ川や漁法で味が違うことをご存じですか? 餌となる苔とかストレスで味が変わります。鮎がストレスを感じると胆汁が多くなってきて鮎独特の苦みが出て美味しくなるわけです。

Q)あの苦みは胆汁ですか。 ところで、琵琶湖の魚の漁獲量は大きくは落ち込んでいないという話でしたが、魚の産卵場所の問題とか外来魚の問題とか、琵琶湖の漁業は大変だという印象がありますが...

中村さん)琵琶湖総合開発で湖岸の様子が一変したり、内湖が少なくなったりして魚の産卵場所が少なくなっています。それから、昔は鯉や鮒など多くの魚が田圃で産卵していたのですが、圃場整備によってそう言う産卵場所も少なくなりましたね。それに加えて、近年は琵琶湖の水がキレイになって、リンや窒素が少なくなり、必ずしも魚にとっては住み心地が良くないみたいです。

Q)それって琵琶湖の水がキレイになると、魚は住みにくいってことですか?

中村さん)30数年前に琵琶湖で赤潮が発生して大騒ぎになりました。その後、合成洗剤を使わない運動が全県的に展開されました。また、下水道の整備が急ピッチで行われ、今では滋賀県の下水道整備率は日本でもトップクラスです。その結果、琵琶湖の水が少しずつキレイになってきました。ところが、「人にとって良い水」、つまりキレイで雑菌などがいない水は、魚にとっては必ずしも住みやすくなくて適度なリンや窒素が必要なんです。

Q)それは初めて知りました。

中村さん)でも、琵琶湖の漁業者は、「ほど良い程度の水であって欲しい」と大きな声では言えないんです。琵琶湖は閉じられた内水域ですし、下流域で水を使っている人達が1450万人もいますから、やっぱり滋賀県人としては「人にとって良いキレイな水」になるように努力しなければならない。

Q)厳しい現実があるんですね。

中村さん)もう一つ私が気になっていることは、今は湖と里が分離されてしまっていることです。昔は琵琶湖の水草が湖岸に打ち上げられると、それを畑の肥料に使っていました。ところが、今は打ち上げられた水草は異臭を放つとかで完全に悪者になっていて、再利用されていません。そして化学肥料や農薬が使われ湖のバランスが崩れている感じです。何とか工夫して、湖と里とがつながっていくと、里(陸)に住む人々にも、そして魚にも優しい水環境になるかも知れないと期待しているのですけど。

Q)里に住んでいる我々には見えない琵琶湖の姿ですね。ところで、琵琶湖の漁業についてお感じになることは?

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中村さん)漁から帰ってきて港に入ってきても誰も人がいない。シャッターが閉まった漁港というのは淋しいですね。県には新規就労の制度が各種あるので若い人たちにチャレンジして欲しいと思います。また、琵琶湖の漁師たちは、水揚げの一部を漁連に出して次世代のために稚魚を放流しています。そういった努力は一般の人達には見えませんが、琵琶湖で遊ぶ人達も、琵琶湖で生活する人達も、そして琵琶湖の魚たちも共に良い環境で暮らせる様になれると素晴らしいと思います。そして、もっと魚を食べてください。

Q)琵琶湖の近くに住んでいる私ですが、知らないことばかりで勉強になりました。今日は貴重なお話を有り難うございました。頑張って下さい。

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