高島産の帆布でオリジナルバッグの製造販売にチャレンジされている工房 細井袋物さん

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「チャレンジする高島人」シリーズの5回目は、「高島産の帆布でオリジナルバッグの製造販売にチャレンジ」されている「工房 細井袋物」さんです。

Q)今日は「工房 細井袋物」さんにお話を伺いに来ました。 こんにちは。

MrHosoi.jpgのサムネイル画像細井 明さん) こんにちは。 自分たちの工房は私と妹夫婦の3人でやっているんですが、今日は私が代表してお話しさせていただきます。どうぞ宜しくお願いします。

Q)有り難うございます。 工房の中に店舗スペースがあるんですね。

細井さん)はい。ただ、こう言うスタイルになったのは実は最近のことなんです。元々ここは40年以上も前に父が始めた袋物の縫製工場だったんです。(現在の場所に移転したのは20年ほど前。) そこを私が手伝うようになり、もう15年以上が経っています。当時からこの業界は分業化が進んでいてバッグメーカーさんが企画やデザインをしたモノを外注に出していました。そこで、それを引き請けて裁断から縫製までして納めるっていう仕事を父が長年やってきてたんです。 いわゆる「下請け」ってヤツですね。

MiseSagyoba.jpgQ)細井さんは最初から家業を継がれたのですか?

細井さん) いえ、高校卒業後に専門学校を経て3年ほど京都へ勤めに出てました。直ぐにでも継ぎたい意思はあったんですが親にも勧められていったん会計事務所に就職しました。学生時代にその関係の勉強をしていたこともありましたし、将来何かと役に立つんじゃないかと思いまして。ただ、もうその頃にはバブルも弾けてしまってて、正直なところ家の商売は上手くいっていませんでした。なので、自分が少しでも力を貸せればと思いUターンして手伝い始めたんです。
そのあと妹夫婦も手伝い始め、父やスタッフさんたちと協力して工場を切り盛りしてきましたが、取引先の海外生産へのシフトもあって取り巻く環境はさらに悪くなってしまって。とりあえず我慢してやっていましたが、このまま続けていても厳しいなって思いは常に持っていましたね。

mishin.jpgQ)それで今の様な業態に変換されたのはどうしてですか?

ひとつ転機があったんです。それは5年ほど前に父が体調を崩してリタイアしたことです。それまで現場作業は父を中心に進めていましたが、大きな病気を患ったため復帰も難しくなってしまって。それからは廃業も選択肢にいろいろと考えることになりました。ただ、仕事は継続して頂けていましたし、数名おられたスタッフさんたちも頑張っていただける方ばかりでした。それに父がリタイアしたから商売を止めたと言われるのも悔しいですしね。いろんな葛藤はありましたが、とりあえずは現状を守っていこうという判断をしたんです。
でも、やっぱり父が抜けた影響は大きくって業況はさらに厳しくなりました。結局その2年後にはスタッフさんも解雇することになり、多くの方に迷惑を掛けてしまいました。それで、残った身内の3人で何が出来るかを模索し始めたって感じです。

MiseSagyo.jpgQ)その後、すぐにこのスタイルにされたんですか?

細井さん) いえ。まずは下請け業から脱却しないとこの先やってはいけないと考え、ハイリスクを覚悟でメーカーとして仕事をしていく道を探りました。ただ、モノを作れる技術はあっても企画力やデザイン力が足りないし、何よりも実績が無い。そんな私たちになかなか相手は振り向いてくれませんでした。これではエネルギーを消耗してばかりで限界が来るなあと感じ始めました。

Q)メーカーとして自立する苦しみの時期ですね。

細井さん)。  そこでアプローチをちょっと変えて、とにかく多くの人に自分たちを知ってもらう仕組みを作ってみようと考えたんです。 「高島市にこんな職人がいて、こんな仕事をしている。」ってことを発信してみようと。工房の一角をリノベーションしてディスプレイスペースを作ったのはそのためです。

また、近い将来の目標として自分たちが考えて作ったアイテムをお客様に直接届けたいという思いもありました。ですので、半年ほどで準備をして昨年の1月末にこの場所を「ショールーム」ではなく敢えて「お店」としてオープンしたんです。当初は並べるオリジナルアイテムも少なくてお店としても未完成でしたが、そこから新しいアイテムが生まれていく様子やお店を作り上げていくプロセスも含めて楽しんでもらえたらという思いで、かなり強引にスタートを切りました。  

Mise.jpgQ)お店をはじめられてからはどうですか?

細井さん)まだまだ進行形ではありますが、少しずつお客様も来て頂けるようになってきましたし、「作り手」としての新たに頼っていただける機会も増えてきました。そもそもお店については「商品を売る」のではなく「もの作りを売る」というコンセプトでやってますので、その点がしっかり伝わって気軽にモノ作りの現場や作り手の顔を見に来ていただけるような雰囲気で今後もやっていければと思っています。

Q)そう言うところは一般的なお店とは違いを感じるところですね。 ところで、地元高島産の帆布などを使っておられることについては?

Tag.jpg細井さん)下請けとして仕事をしていた時代は、正直言って地元が織物の町であることにあまり関心はありませんでした。要するに関係がなかったんです、当時は。ただ自分たちが主導してモノづくりをするようになってふと気付いたんです、身近に素晴らしい素材があるってことに。だから今は出来るだけ地元で織られた帆布や麻生地を活かしたアイテムをオリジナルでは展開しています。

Q)高島市は、「高島ちぢみ」とか「帆布」とか、薄織りから厚織り生地まで生産されている日本でも珍しい土地ですね。

細井さん) 自分たちもそうですが、モノを作り続けるのはそう簡単じゃありません。その点で古くから今もなお地場産業として生き残っておられる機屋さんたちの努力は凄いものだと思います。実際に業界でも高島で織られる生地は品質が高いと評判です。自分たちも興味をもっと持ちながら、いろいろな地元の素材にチャレンジしたいと思っています。

Q)ファクトリーブランド「工房 細井袋物」さんとしての商品はいずれも魅力的ですが、デザインはどうされているのですか?

Kanban.jpg細井さん)有難うございます。でも自分たちは本格的にデザインを学んだわけではありませんし、どちらかというと仕事を通じてたくさんの商品に触れてきた経験値や、お店で直接お聞きするお客様の声なんかをデザインに繋げていってる感じです。
ただ作っているモノは「美術品」ではなく「道具」ですので、その点はしっかり意識してデザインしています。やっぱり「使いやすさ」や「丈夫」といった要素がしっかり備わったうえで美しくデザインされたモノであることが理想だと考えていますので。

Q)素晴らしいお話を聞かせていただき、有り難うございました。 最後に、これからの抱負をお聞かせください。

細井さん) いろんな流れの中で今のスタイルにたどり着きました。 でも基本的には「作り手」であり続けたいと思っています。そのためにも3人で協力しながら、しっかりと技術を磨き、お客様に喜んでもらえる仕事を続けられたらと思っています。

工房 細井袋物

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